「官能系と思い込んで見たら裏切られた」第2弾。笑
その要素も無論ないではないけど。
邦タイトルにまんまと釣られたパターン。
「全然ちゃうやないかい!」と。w
原タイトルは「Havoc」。
「破壊、大荒れ、大混乱」(weblio)の意で、内容は原題がぴったりくる。
「邦訳タイトルのズレ」というのは、何かと物議を醸すだけでなく、(日本映画界の)構造的問題という側面も認識されているものの、「タイトルそのものが映画の入り口」ともなる以上、「釣り」だからといって、いやそれが(訳としてでなく釣りとして)「優れて」いるからこそ、強ち否定する気にはなれない。
「金持ち家庭の白人女性学生の飽き足らぬ日常と冒険」を描いた青春バイオレンス映画。
米国内の人種間の深刻な差別と格差がつぶさに描かれている。
冒頭、白人の若者が黒人の若者のエリアに入り込んで衝突となるシーンがあるのだが、女性同士も本気の殴り合いを行うシーンに驚愕した。
まあ、そんなことに驚いていること自体がアナクロなのだろうけど。
主人公アリソンは、忙しい裕福な両親とは日常生活でほぼ没交渉で、ボーイフレンドもいるグループPLCでは、コカインやセックスに耽りつつも、満たされない日々を送っている。
彼氏のトビーたちと、ヒスパニック系居住区域にコカインを買いに行き、メキシコ系の売人ヘクトルと接触したところから冒険と悲劇が始まるー
「エスニック集団どうしのすれ違いと衝突」は、どのように、どんなところから起き得るのか。
性暴力の「行き違い」も込みで、錯雑した「荒れ、混乱」具合を丹念に描いている。
誤解をはらそうともがいても、悲劇を押し止められない苦味の遺る名作。