ポーランド映画は珍しい。当然恐らく初めて。
ワレサ(今はヴァウェンサという発音表記らしい)も世界史教科書に載っている程度の知識しかなかった。
「東欧の社会主義末期」の空気感がまずよく伝わる映画だった。
ワレサは「普通の電気工」だが、労働運動にハマる過程で当局に付け狙われて何度も職場を追われ、子沢山の家で妻ダヌタが、夫を愛しながらも苦悩する様子が極めて印象的だった。
のちでいうメディアスクラムのような、西側諸国のテレビメディアなどが押し掛けて家庭を破壊し、ダヌタが激怒するシーンもあった。
執拗な警察や交渉相手の当局に一歩も譲らずに、強気で迫るタフネゴシエーター振りには、確かに胸のすくものがある。
ワレサには、大衆運動の空気を読み誤らないだけでなく、自分以外の別の階層も、巧みに取り込む老獪さがあった。
ヨハネ・パウロ2世が「初のポーランド出身教皇」というのは聞いていた気がするが、そのことや、ポーランドが「カトリック教国」(ワレサも敬虔なカトリック信徒)であることの意味合いは、初めて呑み込めた気がした。
ワレサは、ノーベル授賞式には参加できず、妻ダヌタが代わりに行っているが、帰国時の税関での屈辱的な扱いは、見てるこちらが苦しくなるほどだった。
ワレサというより、「ワレサ夫妻」を主軸に描いた映画と見ていいだろう。